OpenDolphin → OpenOcean → WebDolphORCA

以前に OpenOcaen(Ver0.0.1) というオープンソースの電子カルテを GitHub 上で公開していたのだが、現在は公開はやめている。(その経緯は、『OpenOcean(仮)』などで)
元は OpenDolphin-2.7m といっていたのだが、いくつか機能追加をしたので「もうプロジェクト名も変えてみては?」という周囲の勧めもあってそうした。(『OpenDolphin-2.7m→OpenOcean』参照)
OpenOcean-OpenDolphin-猪股弘明


次期 OpenOcean は当初、本家(dolphin-dev)OpenDolphin のデータ構造はそっくりそのままにして、クライアントの手直しメインで作り直すことを想定していた。
が、将来を見据えた時、この程度の改変ではじきに陳腐化してしまうだろうという予感が強くなってきた。だから、この路線はもはや個人的には考えていない。

例えば、OpenOcean にしてもその前身となった OpenDolphin-2.7(m) にしてもカルテ記載内容はデータベース上ではバイナリの形で保存されている。本家も「バイナリによるデータ格納があり後利用に工夫が要る」とこの問題点に言及している。
OpenDolphin-2.7m では、この点を考慮していわゆる「ファイルバックアップシステム」を実装したが、データベースレベルでテキストを扱えた方が「後利用」する際にはメリットが多い。

医療情報の現在のトレンドの一つは、「後利用」つまり(電子カルテに限らず)データの2次利用だ。医療画像系の病変部抽出・自動診断なんてそれこそ山のように様々な試みがなされている。


ファイルバックアップシステムではカルテ記載内容をテキストファイルに書き出してくれる。
そのテキストファイルを使って前処理(自然言語処理という)したのち、簡易な自動診断を行うプログラムを書いてみた。
OpenDolphin-OpenOcean-AI-agent2.png
まずまず目処が立ってきた感があるので、こういった方向でコンセプトを煮詰めていきたいと考えている。

(追記)あれこれいってましたが、OpenOcean は、結局 WebDolphORCA というプロジェクトに統合されそうです。
WebDolphORCA 自体は OpenDolphin 移行ツールOpenDolphin HTML/PDF Viewer の流れで進行していたんですが、Viewer にウェブレイヤー被せてエディタ機能追加すれば、電子カルテっぽくはなりますので。
何が幸いするかわからない。
ただ、

>OpenDolphin のデータ構造はそっくりそのままにして、クライアントの手直しメインで
>作り直すことを想定していた

あたりは悩ましいところ。
OpenDolphin のデータ構造が、わかりにくいのは色々な人が指摘しているが、それに加えて Java 依存性がきつい。
せっかくウェブアプリにしてカルテ記載内容は html で扱えるにも関わらず、永続化するときだけ Java(JTextPane 類似) のデータ構造になるというのは少々バランスが悪い。

(追記)最後の方で触れたデータ構造云々ですが、結局、ドルフィンに寄せるのではなく、新規に起こしました。
とにかくシンプルさに心がけたせいか、かなりすっきりとした構成になったと思います。
また、カルテ記載内容などもわかりにくいバイナリ記録方式もやめてしまい、テキストをそのままデータベースに記録します。
だから、(この点は重要なのではっきりと言っておきますが)DolphORCAOpenDolphin(2.7m 系列) ではデータベースレベルでの互換性はありません
両者間でのデータ移行もできなくはないですが、HTML/PDF Viewer などのユーティリティソフトを使って一括して書き出して保管した方が楽でしょう。


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猪股弘明(医師。元々はエンジニア)

【参考リンク】
🌟『OpenDolphin 2.7.0b を WIN10 にインストールしてみた』
https://phazor.info/air/?page_id=543

🌟『OpenDolphin-2.7(m) を Mac OSX にインストールする』
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inomata0612

猪股弘明
筑波大物理専攻卒。新技術事業団(ERATO)で走査型トンネル顕微鏡の開発に従事。横浜市立大医学部を経て医師免許取得。都立松沢病院などで精神科医として臨床に従事。
精神保健指定医。東京都医学総合研究所客員研究員。
日本精神神経学会 ECT・rTMS等検討委員会委員。